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リトアニア国際協力事業報告2019 

この事業はイオン環境財団の助成を受けて実施しています。

リトアニア共和国コアジサシ調査

国際事業の一環で、リトアニア共和国においてコアジサシの協同調査を行いました。

日時:2019年6月24日~7月5日(滞在期間6月24日~7月4日) 
調査参加者:藤井 幹 公益財団法人 日本鳥類保護連盟 調査研究室長 
      松永 聡美 公益財団法人 日本鳥類保護連盟 研究員
      北村 亘 リトルターン・プロジェクト
      Petras Kurlavičius リトアニア教育大学教授
      Ingrida Meskinyte  リトアニア教育大学
      Violeta Kondratovic リトアニア教育大学
      Kristina Ilciukaite リトアニア教育大学
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繁殖地の視察

リトアニアにおける活動
 2013年に初めてリトアニアに足を運び、2014年から調査を開始。毎年調査を重ね、コアジサシの渡りを究明する調査も2019年で6年目となります。2018年までに46羽のコアジサシを捕獲し、そのうち、20羽にジオロケーターを、9羽にGPSを装着しました。2017年にはジオロケーターを装着した7個体を再捕獲することに成功し、彼らの渡りルートを解明することができました。加えてスペインで標識された個体を再捕獲するなど、大きな成果をあげ、これらの成果についてはカナダで行われた国際鳥類学会議で報告しています。
これまでの調査や目撃情報で、渡りルートやスペインの中継地の一つ、アフリカ大陸の越冬地の一つが分かったもののコアジサシを保全していくためには中継地や越冬地をより多く、正確に知る必要があります。そのため、GPSロガーを使った調査を始めましたが、2016年、2018年にGPSロガーを装着した9個体もまだ再捕獲できていません。2019年は、回収率を上げるため20個体にGPSを装着しました。場所はユルバルカス(9個体)とマリヤンボレ(11個体)です。
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GPSロガーを装着した個体(マリヤンボレ)
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保護のために地元で設置したシェルター(マリヤンボレ)
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営巣地の一つ(ユルバルカス)
クルシュー砂洲国立公園

 ジオロケーターのデータを見ていると、コアジサシはネムナス川を下り、バルト海に出てからアフリカまで南下していきます。リトアニアに戻ってくるときも同じルートです。そのバルト海からリトアニアに入る、またはリトアニアから出る辺りで留まっているのではと思われるようなデータが見られました。そのため、コアジサシにとって良い環境があるかもしれないと考え、その付近の調査に行きました。場所はクルシュー砂洲国立公園です。ここにはロシア国境に至るまで長い砂浜が広がっています。私たちはフェリーに乗り上陸。いくつかの場所を確認しながらロシア国境付近までたどり着きました。広大な砂洲がロシア国境まで広がっていましたが、残念ながらコアジサシを確認することはできませんでした。しかし、中継地として利用できるだけの環境があることが分かりました。
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広大な砂洲が広がるクルシュー砂洲国立公園
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調査の様子(クルシュー砂洲国立公園)
今後の調査について
 この調査は日本鳥類保護連盟とリトアニア教育大学が共同で行ってきましたが、将来的にはリトアニア教育大学主導で行われるべき調査だと考えています。2019年はそんな将来のことも考え、調査方法や調査器具の引継ぎ、調査がリトアニア教育大学主導で実施できる体制づくりに力を注いできました。今後、リトアニア教育大学の手で調査を継続していってくれることを願います。
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