【学校名】
越前市坂口小学校
【活動タイトル】
コウノトリが舞い降りる里づくり ~坂口の生きもの調査隊~
【活動内容】
学校から歩いてすぐのところに地元の環境部会の協力の下ビオトープが作ってあり、その場所での生きもの調査を続けています。1~3号の場所決めは、毎年観察会をする前に、コウノトリと生きものの話やこの場所に作ったビオトープの歴史など話をしてから子どもたちと先生と一緒に話し合って決めています。
高学年だと3か所で観察ができますが、低・中学年だと無理をせず、授業に間に合うように2か所にしています。また、低学年が観察会をする時には、初めて網を持つ子もいるので、最初は観察会というより、網や泥に慣れる体験会となっています。中学年は、今までの経験からコウノトリについての質問や、生きものがたくさんいる環境がなぜ大切なのかを話すようにしています。
ビオトープ3号を作るときには、造成の前と後の生きものの比較がしたかったので、先ず、ビオトープ3号を作る予定地と、ビオトープ2号の生きもの調査をしました。予定地は耕作放棄地で長い間草が生い茂っていたところで、水が張ってある2号との違いがよく分かりました。自分たちで体験して、たくさんの生きものと共生している坂口を実感する時間を大切にしています。
「エピソード」
令和3(2021)年、J0078とJ0161のコウノトリ2羽が人工巣塔を使って繁殖に成功した年のことです。3月、ビオトープに舞い降りたコウノトリを観て、卒業生がやってきて「僕たちこの日の為に頑張って来たんだよね」の一言。活動を続けて良かったと思う日となりました。
REPORT
【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】
幼稚園の頃から、様々な形で坂口地区の自然と関わる体験活動を取り入れてきました。コロナ下で中断しましたが、コロナが明けて、やっと今までのように観察会ができるようになりました。一昨年は中学年、昨年と今年は低学年が、ビオトープの生きもの調査を通して、コウノトリが舞い降りるような環境について市内のどの学校の子どもたちより興味を持つようになりました。
年3回、観察会をすることによって、季節ごとの生きものの違いや、ビオトープでも場所によって見つかる生きものに違いがあることに気がついたり、外来種にも関心を強く持つようになりました。特に、アメリカザリガニ捕獲には興味を持ち、坂口の在来種保全のためにも必要だと取り組んでいます。
異常気象で雨が降らない日が続いたときには、水不足のせいで生きものの数が減ってしまったことを実感したり、オタマジャクシとカエルの量の違いは水温の違いからくるのでは、と考察したり、毎回毎回何かを考える活動になっています。
【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】
越前市エコビレッジ交流センターがある坂口地区は、国レベルで60種、県レベルで100種ほどの希少動植物が生息しているといわれています。「にほんの里 100選」にも選ばれた美しい農村風景が広がるところです。
センターは、豊かな自然環境を教材として捉え、良好な環境の保全及び創造に資する担い手の育成と環境にやさしい地域づくり、また、環境学習の拠点として将来を担う人づくりということをコンセプトに進めてまいりました。中でも、地元の子どもたちには、里山の風景や自然環境をふるさとの宝として、自信と誇りをもって育ってほしいと願いながら活動しています。
センターがオープンした年に、地元の子どもたちを中心とした環境保全グループ「坂口エコメイト」を発足し、初年度「身近な水辺の自然探偵団」として活動した内容で、優秀団体賞を頂きました。その後も地道に活動を続け、「こどもエコクラブ全国フェスティバル」には、福井県代表として今までに6回も参加し、特に「こどもエコクラブ全国フェスティバル2010」では、「日本科学未来館賞」を受賞しました。中学生による坂口エコメイトも「こどもホタレンジャー2015」では、環境省より「水環境保全賞」を頂きました。このように小規模校ながら活動を続けることの根底にあるのは、「コウノトリ」をシンボルとした地域づくりです。
地元の「坂口地区うららの町づくり振興会 環境部会」と坂口エコメイトの協働事業「コウノトリが舞い降りる田んぼづくり」は、2005年にビオトープづくりからスタートし、2006年から田んぼづくりを始めました。(1年から6年まで全員で田んぼづくりをします)田んぼは稲を育てるだけではなく、たくさんの生きものを育む場所としてカエルや水生昆虫などを観つけながら田んぼづくりを進めています。
田んぼではもち米を育てており、環境部会の皆さんとの餅つき交流会は、子どもたちも楽しみにしていて、毎年にぎやかな交流会になっています。12月には、お家の方も交えて全員で「しめ縄づくり(紙垂や水引などは手作り)」をするのも恒例となっています。高学年とはかき餅づくりも続けており、このときに「縄ない」も体験します。
こういった一連の「田んぼ体験」を続けてきたことが認められ、2018年12月には「国連生物多様性の10年日本委員会」主催による「生物多様性アクション大賞2018」の「食」の部門で入賞しました。