【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】
・ササユリ(笹百合、学名:Lilium japonicum)は、ユリ科ユリ属の球根植物。日本特産で日本を代表するユリである。初花を咲かせるまでに種子から約7年以上(野生の場合)の歳月がかかる。長野県版レッドデータブックには準絶滅危惧種(NT)に指定されている。
・村花にも指定され(平成元年指定)、売木小中学校の校歌(昭和35年制定)にも歌われているササユリは、村民が愛着を持ち大切にしてきた植物である。かつては村内の各所で見られた本種であるが、近年、野生動物による食害や除草作業などにより急激に数を減らしている。そこで、村は平成5年(1993年)より保護活動を開始。平成12年(2000年)からは下伊那農業高等学校の協力を得て、村内有志が鱗片培養で育てた球根や、種子を採取して栽培した苗を植えて本種を保護してきた。
・平成24年(2012年)からは売木小学校のクラブ活動、平成27年(2015年)からは「みどりの少年団」の活動として位置づけ、本種の保護活動を継続してきた。その結果、売木小中学校の校庭斜面に、毎年80~100本を超える本種が見事な花を咲かせる群落が形成され、毎年児童生徒や村民、県外からの観光客の目を楽しませている。今後もこの活動を継続していくことで、貴重な群落を守るとともに、さらに村内各所に分布域が広がっていくことも期待される。
・売木村は長野県最南端の村の一つで、南を愛知県豊根村に接し、標高1000~1300mの山々に囲まれた小さな盆地に位置する、まさに「ふるさとの原風景」という表現がぴったりな、のどかな村である。昨年、人口は500人を割り、長野県で2番目に人口の少ない本村は、天然温泉「こまどりの湯」、南信州広域公園「うるぎ星の森オートキャンプ場」、その他宿泊施設など、観光によって成り立つ部分も少なくない。今後、ササユリが貴重な観光資源の一つとなり、観光客の増加につながっていくことも期待される。
・今までの地道ながら継続的なササユリの保護活動とその成果が評価を得ることで、今まで以上に活動に対する児童生徒らの意欲が高まることや、ふるさと売木村や村の自然に対する敬愛の心が育まれることが期待される。さらに、こうしたことが売木村に戻ってくる後継者の増加のひとつになってくれたらと村民は強く願っている。
・今後、こうした地道で貴重な活動とその成果を、地域住民をはじめ多くの方々に伝え広めていきたいと考える。
【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】
・かつては長野県南部の各所で見られたササユリが、野生動物の食害や刈り払い機による除草作業などにより近年急激にその数を減らしている。そのため、長野県の準絶滅危惧種にも指定されている。本種の保護が呼びかけられ、いくつかの市町村で保護活動が行われてきているが、目立った成果が見られる場所は多くはない。その中、売木村では地域住民と小中学生の地道な活動の継続により、学校敷地内にみごとな群落が形成されてきた。
・種子から初花を咲かせるまでに7年以上かかる本種を、小学生が種をまき、発芽した苗を「みどりの少年団育成会」が大切に育て、それを小中学生が植えるという、地域と児童・生徒の協働によって、ふるさとの花『ササユリ』を守り育ててきている。
学校ホームページ: