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公益財団法人 日本鳥類保護連盟は野鳥をはじめとする野生生物の保護と普及啓発を目的とする団体です。

― Today Birds, Tomorrow Man ―

シマフクロウ保護活動への取り組み 〜ご寄付のお願い〜


かつて北海道に広く生息していたシマフクロウは、1980年代にはおよそ70羽まで減少しましたが、給餌事業や巣箱設置事業など、環境省等による保護増殖事業により、現在は北海道東部を中心に160羽程度生息し、微増傾向にあると言われています。

日本鳥類保護連盟釧路支部では、国が策定した保護増殖事業計画に沿って、環境省が行っている、給餌事業、巣箱設置事業、標識調査事業を請け負って実施しています。実際の保護活動の現場では多くの人が関わり、協力して様々な業務が行われ、時にはヒグマが現れる危険な山奥で作業を行い、時には過酷な調査をボランティアで行うなど、シマフクロウのことを大切に思い、何とかしなくちゃいけない!と真剣に考えている人たちの強く熱い思いや、保護活動を陰で見守る温かい眼差しによって長年支えられ、その積み重ねにより、ようやく成果が出始めているということに気づかされます。

国が保護増殖事業を行う一方で、行政の手が届きにくい部分を補い、多くの関係者と連携して保護活動を継続していくことも釧路支部の大きな役割です。


給餌事業


私たち人間にも言えることですが、安心して生活するためには「衣」「食」「住」が最低限必要です。シマフクロウは温かい羽毛を持っているので、「衣」は既にあるとして、「食」の確保のために必要な給餌事業は環境省の保護増殖事業の大きな柱の一つとして位置づけられています。

 魚を主食とし、河川周辺を棲み処分とするシマフクロウにとっては、豊かな魚資源
 が必要です。本州などと比べて北海道東部の魚資源は驚くほど豊富ですが、それで
 も開発等による河川環境の変化により、かつてと比べると魚は減少し、シマフクロ
 ウが安定して生息するための資源量としては足りない場所が多いのが実情です。そ
 のような場所に保護増殖事業計画に基づき給餌池を設置し、生きた魚を給餌するこ
 とでシマフクロウの「食」を確保しています。これによって安定的な生活が確保さ
 れ、繁殖成功率が上昇し、個体数の増加につなげることが期待されます。これらの
 給餌池の設置、維持・管理を実施することも釧路支部の大切な役割で、林道から離
 れている各給餌池まで生きた魚を運んだり、落葉の季節には池の排水口が詰まらな
 いように落ち葉を取り除いたりします。








給餌場の再建


2016年夏に、相次いで北海道に上陸した台風が各地に甚大な被害をもたらしました。十勝地方のある給餌池は大雨による河川の氾濫で跡形もなく流されてしまいました。河畔林内の湧水を利用したこの給餌池は20年以上前から給餌が行われていますが、このようなことは今までに一度もありませんでした。

 シマフクロウは長い冬と翌年の繁殖に向けて、サケ科魚類が多く遡上する秋に栄養
 を蓄えます。その大切な時期に給餌池がないという緊急事態となり、慌てて関係者
 が手弁当で集まってスコップとツルハシ、バールなどを使って作業し、手作りで給
 餌池を再建しました。このような緊急的な事態には国の対応は間に合いません。給
 餌池を維持するための日々の地道な作業は多くの関係者によって支えられ、給餌事
 業は維持されているのです。



巣箱設置事業


食べ物が十分にあっても、家がなければ子育てはできません。次に必要な条件は「住」です。川沿いの豊かな森を棲み処とするシマフクロウは、繁殖するために長い年齢を経た太い広葉樹の洞(うろ)が必要です。豊かな自然が残っていると思われている北海道東部でも、多くの森林は伐採されて単調な針葉樹の造林地となり、天然林といえどもシマフクロウが繁殖できるような立派な洞のある広葉樹はまれで、そのままでは繁殖することができません。そのためシマフクロウが安心して子育てできるような人工の巣箱を生息地や、生息できそうな場所へ設置する必要があります。

 巣箱といっても全長70pほどもあるシマフクロウ用の巣箱は皆様が想像するよう
 な巣箱とは少し違います。ドラム缶のようなものを創造していただければイメー
 ジに近いと思います。



 巣箱を設置する作業は、そのような大きく重たい巣箱を深い森の奥まで運び、高い
 木の上に取り付けなければならない大変な作業なのです。





 シマフクロウの巣箱は生息地のほとんどに設置してあり、現在、180個以上存在し
 ます。シマフクロウが安心して繁殖できるよう、一つ一つ、巣箱の入り口の方角や
 高さ、周囲の樹木の密度、川からの距離などを念入りに確認して取り付けられてい
 ます。エゾクロテンが巣箱内に侵入してヒナを捕食してしまうことも多いことから
 最近ではエゾクロテンが入り込めないようにするためのアタッチメントも巣箱の
 入り口に取り付けています。関係者にとってはどれも思い入れのある巣箱なのです。



標識調査


 毎年春になると、その年生まれたヒナに足環を取り付ける標識調査が行われます。
 巣立ち直後や直前のヒナに足環を付けるのは少しかわいそうな気もしますが、標識
 調査をすることでシマフクロウのことがよく分かってきました。野外で識別できる
 足環には生息地ごとに色が決められていて、刻印されている文字を読むことで生ま
 れた年を知ることができます。


 これらの情報から、シマフクロウの年齢や寿命、血縁関係、移動距離などが分かり
 生態の解明だけでなく、今後の保護活動の方針を決める重要な手掛かりにもなって
 います。





国有林巡視業務


シマフクロウはとても敏感な鳥で、人間の影響を受けやすい鳥です。環境省だけでなく林野庁でも、シマフクロウ保護管理事業として、シマフクロウの保護及び生息・繁殖に適した環境の保全を図ることを目的に、生息地である国有林の巡視を行い、台風などによる生息地の被害状況の確認や、巣箱の状況確認などの生息環境を巡視するほか、国有林内のシマフクロウ生息地へ無断で立ち入り、写真撮影など生息や繁殖の妨げになるような行為が行われていないかどうか定期的に巡視を行っています。この事業も釧路支部が請け負っています。


今後のシマフクロウの展望と釧路支部の役割


国の保護増殖事業と関係者による地道な保護活動により、幸いにもシマフクロウは減少傾向から微増傾向に転じました。しかしまだまだ安心できる状態ではなく、些細なきっかけでまた減少傾向に転じてしまうかもしれない、とても危うい状況で、これからも保護活動を続けていかなければなりません。

近年、保護活動の在り方も少しずつ変わってきています。国による保護増殖事業は、給餌や巣箱設置などのシマフクロウを直接保護する従来の事業と並行して、生息環境の保全や再生など、シマフクロウが安心して棲むことのできる環境づくりのための事業が始まっています。現在は分断されている生息地が豊かな森でつながれば、シマフクロウの子供が森に沿って安心して分散することができます。豊かな森にはいずれ子育てのできる大きな広葉樹の洞もたくさんできるでしょう。川の魚も戻ってくるはずです。

まだまだ先の長い保護活動の道のりですが、様々な関係者と手を組み協力しながら保護活動を支え、いつの日かシマフクロウがあたりまえの存在になるよう見守っていければと思っています。


ご寄付のお願い


現在、シマフクロウのために必要な作業は山のようにあり、国の予算だけではとてもまかないきれません。例えば、壊れた給餌場所の改修、生息状況や繁殖状況のモニタリング、新たな観察池における生息確認調査、そして、給餌した魚の多くがオオワシ、オジロワシやキタキツネ、アメリカミンクなど他の野生動物によって捕食され、シマフクロウに十分な活魚が行き渡らないなか、シマフクロウのために活魚を補填することも、シマフクロウを保全するために欠かせない作業です。これらの作業を実施するには相当の費用が必要となりますが、国の予算では十分に補えないため、何とか資金を確保していかなくてはなりません。

シマフクロウを守っていくために寄付をお願いいたします。皆様からいただいた寄付金は、シマフクロウのための保全活動に生かされます。国の予算を超えた出費を補い、シマフクロウを守っていけるのは皆様からの寄付金のおかげなのです。ぜひ、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。



寄付金の送り先と控除について


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