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フィリピンへ双眼鏡を寄付してきました!

昨年、本誌11・12月号と連盟ホームページで、フィリピンで活動している人たちをサポートするために中古の双眼鏡を募集したところ、たくさんの方から提供があり、双眼鏡26台、望遠鏡3台、三脚1台が集まりました!私たちは、皆さんからご寄付いただいた双眼鏡、望遠鏡、三脚をフィリピンで活動している人たちへ届けるため、2017年3月16日から23日にフィリピンで開催されたフィリピンサシバ保全エコツアーに同行してきました。

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寄付していただいた機材の一部

これらの機材は、今回の寄付の窓口であるラブターウォッチネットワークノアレックス・ティオンコウさんを通じて、2か所の大学やボランティアグループへ分配されることが決まりました。私たちは道具が分配される二つの大学を尋ねました。

最初の学校はノースウェスタン大学。ノースウェスタン大学では、エコツアーの参加者二人と生徒のマイケル・カララモさんがサシバの関係の発表をした後、機材を寄贈いたしました。寄贈を受けた学長のフェルデナンド・ニコラスさんは、生徒が観察や調査を続けることができると大変喜んでくれました。これらの機材で自然保護がより一層進むことを願うばかりです。

次はサンチェズミラのCSU(カガヤン・ステート・ユニバーシティ)を尋ねました。CS大学では色々な活動をしており、中でもサシバ保全のためのポスターコンクールで生徒たちが描いたポスターはそうそうたるものでした。サンチェズミラでは、以前は慣習的に行われるサシバの密猟が多く残っていましたが、アレックスさんたちが発起人となり、大学の生徒たちと協力して密猟を減らすことに成功しました。生徒たちの自然を守りたいという気持ちは強く、日本から来た私たちのことも温かく迎え入れてくれました。サンチェズミラの市長アセラ・サクラメントさんも、生徒たちに寄贈された道具を見て大喜びでした。フィリピンはお金がない国なので、外国の研究員や調査員がフィリピンでの自然保護をサポートしてくれることに感謝の気持ちを述べられていました。

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機材を寄附する様子

CS大学で機材を寄贈した後、私たちは早速サシバの観察に出かけました。私たちエコツアーのメンバーたち以外に、CS大学の生徒、市長さん、密猟パトロールをしている警察も同行しました。サシバの観察地はサンチェズミラの一部の子供たちが通う、山奥にある小学校です。肝心のサシバは何羽か見え、アカハラクマタカやフィリピンクマタカを観察することもできました。

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私も含め、初めてサンチェズミラを訪れた人の多くは、フィリピンがどういう国かは分かっていませんでした。うわさで聞いていたことは、サンチェズミラでは密猟が多く、サシバを撃って食べている人たちがいるということです。慣習的な文化の問題であり、食糧問題でもあるため、サシバの保護は難しいと思っていましたが、アレックスさんたちの活動によって、たった2年で密猟は激減し、今では密猟が行われたという話は聞かなくなりました。アレックスさんもあふれるほどの笑顔で、その劇的な変化を喜んでいました。当時アレックスさんは、その文化を変えることはとても難しいと考え、村の子供たちに保護の必要性を伝えることから始めました。子供たちにサシバを保護したい気持ちを持たせれば、子供たちの親、兄弟にも保護の大切さが伝わり、密猟が減ると考えたからです。そして、その効果は驚くほど早く現われました。アレックスさんたちの願い、活動が見事に実ったのです。そんな活動を支えていくために募集した双眼鏡は、今後フィリピンの自然を支えていく子供たちに無事届けることができました。

しかし、フィリピンのサシバの保護や自然保護活動はまだ終わりではありません。密猟が本当になくなるのはこれからです。慣習的な文化がたった2年でなくなるとは思えないとアレックスさんは言います。しかし、私たちはエコツアーの参加者、そしてアレックスさんたちが今回フィリピンで感じたことは、寄贈した機材のおかげで、フィリピンの自然の未来が少しでも明るくなったということです。寄付をいただいた皆さんには心から感謝申し上げます。これからはフィリピンだけではなく、世界中で、人間は自然と共に生き続けなければならないということを伝えていく必要があります。それは私たち自然の大切さを理解している人間の責任として世界に発信していかなければなりません。今後も皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

 

2017年8月 フィリピンのアレックスさんから双眼鏡の寄贈の様子が送られてきました。

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双眼鏡7台をEnvironmental Conservation and Protection Centerへ寄贈しました。(アレックス)
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双眼鏡6台と望遠鏡1台をGovernor Generoso Collegeへ寄贈しました。(アレックス)
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双眼鏡等を提供して頂いた方々および団体(五十音順)

市田淳子、大館和広、小山亨、金森ゆう、白井百合、白岩康夫、田村耕作、堤不可私、平尾一規、(公財)山階鳥類研究所


皆様、ありがとうございました。

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