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【学校名】

小学校

豊田市立滝脇小学校

【活動タイトル】

豊田市立滝脇小学校

愛鳥活動 
知ろう滝脇の自然 守ろう私たちの森 広げよう地域へ

【活動内容】

 滝脇小学校は、愛鳥活動60年目の節目を迎えました。
 本校の「知る活動」「守る活動」「広げる活動」の3本柱の活動が、より児童の主体的な活動となるよう、工夫と改善を行っています。

 知る活動では、滝脇小学校に生息する鳥たちとより親しむ活動を進めました。4月の学級開きで、級鳥会議(学級の鳥を決める会議)を行いました。
 2年生はキビタキ学級。3・4年複式学級はキセキレイ学級。5・6年複式学級はハヤブサ学級としてスタート。学級の鳥には、子どもたちの多くの思いが込められています。
学級文庫には、野鳥図鑑を並べ、いつでも手に取り、調べられるようにしています。今年は新しく学級文庫や図書室に入れる野鳥図鑑を、候補の書籍の中から子どもたちの投票で選定しました。
 令和7年4月25日、西三河野鳥の会の方々4名をお招きし、全校児童と一部保護者参加による夏鳥探鳥会を行いました。標高242mの山頂に位置する滝脇小学校周辺は、シジュウカラ、ヤマガラを中心に多くの野鳥が生息し、春には、ウグイスやホトトギス、ヒヨドリなどの美しいさえずりが響きわたっています。今年度は愛鳥委員会(3年生~6年生児童が所属)の児童の提案で、夏鳥探鳥会に「探鳥会ビンゴ」を取り入れ、探鳥会が楽しくなる工夫を加えました。夏鳥探鳥会ビンゴカードに、1年生から6年生までの児童一人一人が「この鳥たちの姿が見ることができたらいいな」「きっと、この鳥たちの鳴き声が聞こえるだろう」という予測と期待をもち、メジロやハシブトガラスなど9種類の鳥の名前を書き込んで、探鳥会に参加しました。ほぼ全員の児童がビンゴを達成。西三河野鳥の会の講師の方と6年生が先導役を勤め、4つのコースに分かれて地域に生息している夏鳥の姿や声に親しみました。各コース、約20種類の鳥たちと出会うことができました。今年度は4つすべてのコースでヒヨドリの声や姿を見ることができました。イワツバメの親子のかわいらしい姿やトビが大きな羽を広げて雄大に飛び、降り立つ姿を間近に見て、山にねぐらをもち、田んぼの生物をえさにしていることを学びました。
知る活動では、理解する活動にも力を入れています。
 愛鳥委員会は、愛鳥クイズを作成し、児童会主催の集会で活用したり、鳥のさえずりの覚え方を1年生~4年生の児童に伝えたりする活動を続けています。野鳥観察掲示版に書かれた鳥の名前を昼の放送で毎日伝えています。 
 令和7年5月21日(水)、夏鳥姿見検定を実施しました。姿見検定で使う鳥の写真の20種類中17種類を滝脇小学校の運動場や野鳥の森、近郊で撮影した(滝脇小、現校長が5年間にわたり、地道に撮影蓄積したもの)地元の野鳥の写真に刷新し、地元の野鳥の姿で検定を行うことができました。図鑑の鳥と地元の鳥では、同じ鳥でも個体ごとに微妙な違いがあることを学びました。
 さらに、高学年児童は、探鳥会や営巣活動でご指導をいただいている専門家の先生から、国立科学博物館の「鳥類音声データベース」を紹介していただきました。本校の営巣活動を代表するシジュウカラ。東京23区のシジュウカラの鳴き声と沖縄のシジュウカラの鳴き声では大きな違いがありました。鳥の鳴き声にも方言があることを学びました。
 令和7年6月10日(火)さえずり検定を実施しました。鳥のさえずりをより身近により学びやすくするために、鳥検定アプリを児童の学習用タブレットに配信し、隙間時間や家庭でも鳥の鳴き声に親しむことができるようになりました。

 本校では、守る活動に力を注いでいます。13年前から、3・4年生の児童が学区のツバメ調査を実施しています。今年も学区全155戸の家庭への現地調査とアンケートの二つの方法を実施しました。滝脇小学区でのツバメの営巣数は年々減少しています。その原因について、考察しました。
 高学年は、前年度末(~3月)までにカラ類の巣箱を、野鳥の森や小学校の校庭に設置し、4月から6月にわたり営巣調査を行い、主にシジュウカラ、ヤマガラの巣立ちを観察しています。今年度はカラ類の巣箱を含め3種類の巣箱での営巣活動に挑戦しました。今回は、二つ穴巣箱に新たに挑戦しました。また、昨年度に続いて万能巣箱に挑戦しています。カラ類巣箱は、同じ場所でも高さを変えて二つとりつけ、どちらの巣箱に営巣するか観察をしていきました。
 私たちの愛鳥活動を支えてくださっているのが、地域ボランティア「つばさと根っこの会」の方々の活動です。「つばさと根っこの会」の野鳥の森の整備活動が、野生動物にとってのよりよい環境づくり、子どもたちの愛鳥活動を支えています。子どもたちが森に入って営巣活動や森の探検活動がしやすいように、散策路の整備、階段や安全柵の設置、光が入りやすくするための支障木の伐採を進めてくださいました。さらに、令和7年5月20日(火)には、高学年児童が地域の方々と一緒に、二畳ヶ滝クリーン活動を行いました。滝周辺の落ち葉やごみを拾い、看板磨きを行いました。滝脇周辺の美しい自然を守る取組です。二畳ヶ滝は、愛知県の観光スポットにもなっている滝で、夏鳥探鳥会、冬鳥探鳥会で野鳥の観測を行わせていただいている大切な場所です。
 低学年児童は、冬場(令和6年11月~)に給餌活動を行いました。また、生活科の時間に、校庭に掲示されている鳥のシルエット板で、滝脇小学校近くに生息する鳥の形や大きさ、鳥の名前を学んでいます。7月には、全校で、愛鳥ポスター制作に取り組みました。作品は、10月に地元の松平交流館に展示させていただき、子どもたちの愛らしい個性豊かな作品に親しんでもらいます。

 広げる活動では、毎年、愛知県野鳥生物保護実績発表大会に参加し、滝脇小学校の愛鳥活動を発表しています。今年は、令和7年8月28日(木)に、刈谷市産業振興センターで実施された大会で、4・5・6年生の児童が、前年度と今年度前半の活動成果を発表しました。また、子どもたち手作りの自然いきいき発表会を実施し、滝脇小学校の愛鳥活動を地域の方や保護者に伝えています。秋田県の小学校の5・6年生児童がリモートで参加し、貴重な交流ができました。
 令和7年9月17日に地元高校生とのリモート交流会を行い、滝脇小学校の愛鳥活動について知ってもらう絶好の機会となりました。
 令和7年1月~3月には、さらに、広げる活動を進めました。特別支援学級が、希望家庭への巣箱配付を行いました。3・4年生が、ツバメ新聞・野鳥の森マップを作り、5・6年生は、愛鳥リーフレットを作成し地域の公共施設での配布を行いました。6年生は、卒業制作で本格的なバードカービングに挑戦し、作品は正面玄関に彩を添えています。

REPORT

🎥活動PR動画 私たちの愛鳥活動


【活動による成果・効果または活動によって今後期待できること】

成果その① 営巣活動の工夫と改善
カラ類用巣箱(本校のおなじみの巣箱)、万能巣箱(大型の鳥の営巣が期待できる)、二つ穴巣箱(鳥類保護連盟の依頼を受け、今年度より挑戦)⇒三種類の巣箱での営巣活動に挑戦
☆カラ類用巣箱から分かったこと
巣箱のかける高さにより、営巣する鳥に違いがでる⇒ヤマガラは高い場所の巣箱を好む
                       ⇒シジュウカラは人の近くを好む
☆万能巣箱の今後に夢が膨らむ
今年は、初めてヤマガラの巣立ちに成功。さらに万能巣箱実践の先駆者に学び、地元の方々の協力を得て、大型の鳥(ブッポウソウ、コノハズク、アオゲラ)が営巣できるように、高い位置(地上から約5m)に万能巣箱をかける計画を着々と進めています。
☆二つ穴巣箱でのリベンジ
カラスやヘビによる被害にあったと考えられる。二つ穴巣箱のメリット、デメリットを考え、令和8年度から、巣箱の留め金の工夫、ヘビ返しの取り付けを行う計画です。

成果その② 児童主体の自然いきいき発表会
☆令和7年2月に実施した1年生~4年生の児童が自分たちの学習用タブレットの画面で作った活動紹介やクイズをユニークな動作を交えて発表できました。
☆令和7年9月12日  5・6年生の児童の運営による発表会
これまで、教師が司会、当日の運営を行っていましたが、企画から運営まですべて5・6年生児童が担当しました。
会の前半では、秋田県の太田東小学校にリモートで発表を見てもらい、多くの質問をもらったことで、自分たちの活動を見直す視点をもらうことができました。会の後半では、ミニ土壌生物体験を実施し、野鳥の森の土の豊かさ、土壌生物調査の大切さを1年生から4年生に伝える活動の一環となりました。地域の方や保護者にも参加いただき、野鳥の森の土の中に多くの微生物がいることを見ていただくことができました。今年度使った3つの巣箱を体育館の入口に展示したことで、その大きさの違いが見に来てくれた方々に伝わっていました。万能巣箱が大きいこと、カラ類用巣箱の穴がとても小さいこと(「シジュウカラは、こんな小さな穴で、出入りしているのですね」という感想をもらいました)を知ってもらう機会となりました。

成果その③ 給餌活動の工夫
1・2年生の児童が冬場に実施している給餌活動⇒校舎の裏の山側だけでなく、校庭側にも簡易的な給餌台を作りました。その結果、ヤマガラやクロジを間近で見ることに成功しました。

成果その④ 山の鳥と海の鳥の比較、弥富野鳥園で学ぶ本校の研究に対し、企業団体からの助成を受けることができたため、愛知県の弥富野鳥園の見学を再開させることができました。令和8年1月15日に、弥富野鳥園の職員の方に教えていただきながら、冬の湿地で見られる鳥の探鳥会を実施します。令和7年12月11日に実施する滝脇小学校周辺の冬鳥探鳥会で見られる鳥たちと比較したり、弥富野鳥園での具体的な活動について学んだりすることで、本校の保護活動に生かしていきます。

成果その⑤ ツバメのふるさとを目指す(人工のツバメの巣を活用)
滝脇小学校学区のツバメの巣の営巣率が、毎年下がっていることが本年度の調査でもわかってきています。減少している原因について、主に4つの理由を考えました。そんな中で朗報がありました。滝脇小学校正面玄関の粘土で作られた人工のツバメの巣に、今年の6月中旬にツバメが営巣したのです。6月下旬に産卵、7月にはヒナが確認されました。今後、人工のツバメの巣の設置場所を増やす方法について考えていきます。

成果その⑥ 地域発信と交流の広がり(他県の学校や高校生との交流、児童主体の発信を探る)
これまでは、隣の小学校との交流会を行っていましたが、今年度交流の幅を広げました。
秋田県大仙市立太田東小学校とのリモート交流会で、滝脇小学校の愛鳥活動を知ってもらうことができました。(太田東小学校の米づくり、あいさつ運動の実践を学びました。)
令和7年9月17日には、近隣の高校生とのリモート交流会で、5・6年の児童が愛鳥活動について発信しました。
また、令和7年12月16日には、近隣の幸海小学校の特別支援学級との交流会で滝脇小学校の野鳥の森を歩く体験活動に参加します。
さらに、子どもたちの考えた方法で、近隣の福祉施設や中学校、こども園、商店にも、自分たちの活動を伝え、鳥たちの保護活動に関心をもってもらえるように発信していきます。

成果その⑦ これからもシジュウカラと歩んでいこう 
本校は、シジュウカラの学校として、愛鳥活動を先輩たちから受け継ぎ、活動を継続、工夫と発展に努めています。折しも、東京大学の鈴木俊貴先生の著作「僕には鳥の言葉がわかる」小学館が広く知られることになり、シジュウカラの鳴き声がシジュウカラの言葉として注目されるようになってきました。
今後は、鈴木俊貴先生と交流、連携、ご教授の機会をもち、シジュウカラが身近にいる滝脇小学校だからこそできること、まだまだ知らないこと、その不思議の解明に挑戦していきます。

【アピールポイント(活動において特に工夫したこと、注意・注目したことなど)】

☆鳥も楽しく、人も楽しく、野鳥のふるさとづくり、自然との共存
◎特に工夫したこと
☆3種類の巣箱の活用(カラ類用巣箱と万能巣箱と二つ穴巣箱)⇒令和8年度へつなぐ
令和6年度23カ所に設置⇒令和7年度26カ所に設置
☆巣箱をかける場所、位置、高さの見直し(風通しのよい場所、日当たりのよい場所)
☆野鳥の森の整備、滝周辺の清掃活動⇒地域の方々の協力を得て
☆営巣活動での巣箱の中の観察は、ファイバースコープを活用することで、野鳥へのストレスの軽減と、観察時間の短縮を徹底  
☆児童主体の親しむ活動を増やした
その1 探鳥会ビンゴの導入
その2 お昼の放送で見つけた鳥の紹介活動
その3 級鳥を決めて、鳥の特徴を学級の意識につなげる
その4 学校の鳥(シジュウカラ)マスコットキャラクター『ツッピー』を設定し、表彰状(滝脇きらり賞)や贈呈された鳥文庫につけている
その5 新入生に好きな鳥の手作りプラバンキーホルダーを作ってプレゼントした
☆地域の方や専門家との連携で万能巣箱による新しい鳥との出会いを模索
☆山の鳥だけでなく海の近くの湿地の鳥の保護活動を学び、今後の活動に生かす

これからも、シジュウカラ、ヤマガラを中心とした野鳥との共存、新しい鳥との出会いを目指します

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