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公益財団法人 日本鳥類保護連盟は野鳥をはじめとする野生生物の保護と普及啓発を目的とする団体です。

― Today Birds, Tomorrow Man ―

ネパールでの猛禽類をはじめとした環境保護の取り組み

活動の目的


 ネパールは850種以上の鳥類が記録されている生物相豊かな国ですが、鳥類の調査はまだまだ進んでいません。そんな中、一方では開発が進み、人知れずそこに暮らす生態系の頂点である猛禽類の生息が脅かされている可能性があります。またゴミ集積場では重金属等が入っているかもしれないゴミを希少な種であるハゲワシたちが食べているという現状があります。ネパール鳥学会の会員はそのような状況を改善するために日々活動をしていますが、資金や人材の不足により思うように活動を広げられない状況にあります。この助成活動では彼らが自身で資金を獲得し、保護活動を継続していけるような基盤を作ることが目的です。そのために調査技術の提供、エコツアーガイドの育成及び普及啓発を実施することになりました。      

2019年の活動


 このプロジェクトでは資金源となるエコツアーを定着させることが最も重要な要素となります。2019年9月、エコツアーガイドについての知識提供と視察のために、私たちは第1回目のネパール訪問を実施しました。ラムサール条約にも登録されているペワ湖とソウゲンワシやヒマラヤハゲワシといった猛禽類の渡りのルートとなっているオーストラリアンキャンプ(以下AC)をエコツアー推進の中心地に選定しました。ACは標高2,000m程で、天気が良いと7,000m級のヒマラヤ山脈が臨める絶景スポットです。そこでは10月から12月の渡りの時期には多い時で一日2,000羽以上の猛禽類が観察でき、ネパール鳥学会による猛禽類のカウント調査が実施されている場所でもあります。猛禽類以外の鳥類も多く生息するバードウォッチングに最適の場所ですが、まだその存在はあまり知られておらず、エコツアーの場所として潜在的に大きな可能性を秘めています。


 
ACから臨むヒマラヤ山脈


ACから臨むペワ湖


 また地域に根差した活動にするため、ACの麓にあるカンデ村住民等に対して説明会を実施し、参加していただいた46名の方々に本プロジェクトへの理解を深めていただきました。参加者は予想以上に関心を持ちたくさんの意見を出してくださり、説明会後のアンケートにも快く協力していただきました。


 
      カンデ村麓での説明会の様子             説明会後住民の方々との集合写真


 2回目はエコツアー実践の時期である11月に訪問し、調査技術の提供、エコツアーガイドの実践、ACを利用する登山客へのアンケート調査を実施しました。その中でエコツアーガイドの実践については、試験的なエコツアーを実施しました。5名のエコツアー参加者に対して、9月に選定したコースでの早朝バードウォッチングや猛禽類の渡りについてのガイドの引率を、ネパール鳥学会会員に行ってもらいました。猛禽類を観察する丘ではたくさんの大型猛禽類が眼前を渡っていく姿に圧倒されましたが、中でもヒマラヤをバックに飛翔するヒゲワシにはエコツアー参加者はもちろん、私たちも皆心を奪われました。猛禽類だけではなく小鳥類も多く観察することができ、ACだけでも68種類を観察し、改めて生態系の豊かさを感じることができました。さらにACを利用する登山客31名にリーフレット、ステッカーの配布およびアンケートを行い、普及啓発と登山客のニーズや現状について把握することができました。


 
間近に出現したミミハゲワシ


ヒマラヤ山脈をバックに飛ぶヒゲワシ

 
      猛禽類の渡りを観察している様子           ACで観察されたハクオウチョウ

 ポカラではペワ湖での早朝バードウォッチングをAC同様に実施したほか、ゴミ集積場とハゲワシレストランの視察もエコツアー参加者と共に行いました。このハゲワシレストランとは、ゴミ集積場に集まるハゲワシを少しでもそこから遠ざけようという試みです。ネパール鳥学会会員が携わり、地元で売り物にならない高齢の牛を買い取り、ハゲワシレストランで放牧し、牛の寿命がくるとハゲワシの餌となるシステムで、今では地元が主体となり、寄付金や見学料等で運営をしています。参加者の方々にも現地を見ていただくことで、ネパールの生活についても理解を深めていただけたのではないかと思います。

 
ペワ湖の風景


ペワ湖で観察されたアジアレンカク

 
          ゴミ集積場の様子             ゴミ集積場に集まるエジプトハゲワシ

 
   ハゲワシレストランに集まるハゲワシたち           ハゲワシレストランの看板


今後の課題


 今回試験的なエコツアーを実施することで、今後についても課題が見えてきました。ネパール鳥学会会員は猛禽類については高い知識がありますが、AC周辺の小鳥類や動植物については分からない部分も多々あり、エコツアーを実現していくためには今後幅広い知識を身につけてもらわなければならないと感じました。次回の訪問では、ネパール鳥学会と共に、より良いエコツアーにできるようエコツアーガイドについてのワークショップなども実施していきたいと思います。またエコツアーの可能性を広げるため、猛禽類の渡りの時期だけではなく、他の時期についても魅力的なエコツアーが実施できるように、さらなる観光資源の発掘も行っていきます。
 2019年の活動ではカンデ村周辺住民、ACをりようする登山客、エコツアー参加者合わせて80名程の方々に本プロジェクトに関わるアンケートに答えていただきました。皆様には厚く感謝の意を表したいと思います。
 この活動は始まったばかりです。今後も日本鳥類保護連盟、アジア猛禽類ネットワーク、ネパール鳥学会と共にネパールの猛禽類をはじめとした自然保護に貢献していきたいと思います。


                          



  
             



この活動は、地球環境基金からの助成で行っています。


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