2010年度ポスター
  ヒナを拾わないでキャンペーンについて

初夏になると「鳥のヒナを拾ったのですが、どうしたらいいですか?」という問い合わせが多くよせられます。しかし、そのほとんどが、まだ飛ぶ力がついていない巣立ち直後のヒナが地面におりているだけで、保護しなくてもよいケースです。
そこで、日本鳥類保護連盟・(財)日本野鳥の会NPO法人野生動物救護獣医師協会では、正しい対応の仕方を知ってもらうために「ヒナを拾わないで!キャンペーン」を実施しています。

 キャンペーン協賛について
 ポスター配布について


どうしてヒナが地面にいることがあるのですか?
野鳥のヒナの多くは、卵からかえって羽がはえそろうとすぐに巣立だつので、巣すから飛び出す段階ではうまく飛べずに落ちるものもいます。でも、けがをしていなければ、親鳥がエサをあげたりや誘導をするうちに、少しずつ飛べるようになると考えられます。
ヒナを見つけたときはどうしたらよいのでしょうか?
巣立ち直後のヒナはあまり動きません。親鳥は人がヒナの近くにいると警戒してやって来られません。少し離れた場所から親鳥がもどってくるか観察してください。
ネコやカラスに食べられないでしょうか?
近くの木の枝先や茂みの中など、ネコやカラスが近寄れないところにとまらせてあげましょう。親鳥は姿が見えなくても、ヒナの声で気づくことができるでしょう。
人が野鳥のヒナを育てることはできないのでしょうか?
私たちはヒナに飛び方や、食べもの、何が自分にとって危険なのか教えられません。自然の中で自立していけるように育てるというのはとても難しいことなのです。
また、許可なく野鳥を飼うことは法律で禁止されています。


 
もしヒナを拾ったら…
・近くに親鳥がいない、巣が見つからない
・ケガをしている
・保護してから長時間がたっている(ヒナがいた場所から移動してしまった)


・・・こんなときは、都道府県の鳥獣保護担当に連絡をし、指定の救護施設や獣医に相談しましょう。
※カラス、ドバトなど救護しない種が決められているところもあります。
都道府県の鳥獣保護担当

救護施設や獣医に連絡するまでの応急処置については、こちらを参考にしてください。
 ケガをしたり、弱った鳥を見つけたら


 
鳥や自然について知ろう
ヒナがすぐに巣立つわけ
自然界での命の原則は、他の生物の食物になること。野鳥の世界も毎日命がけですが、わずかでも生きのびれば1年で大人になって子育てを始め、毎年繰り返します。つまり、生き残る方が少ないので、たくさんの卵を産み、短期間でヒナを巣立たせなければなりません。
スズメでは5個くらい卵を生み、かえったヒナは約2週間で巣立ち、その後1週間くらいを親子で過ごしてからひとり立ちし、親鳥はまた卵を産むというサイクルを、春から夏にかけて繰り返すようです。なお、巣立ちまでの期間は、メジロやヒヨドリでは10日ほどしかなく、シジュウカラ・ツバメ・ムクドリなどは3週間ほどかかるものもいます。

ヒナの成長を支える虫
鳥も私たち人間と同じで、他の命を食べなくては生きていけません。特に鳥は、活動的に空を飛ぶために体重を増やせないので、食べてはすぐにフンを出すことを繰り返します。体重15グラムほどのシジュウカラでも、1年間に必要な虫は10万匹を超えるという試算もあるほどです。
秋冬に虫が少なくなると、木の実などの植物質も食べるようになる小鳥も少なくありません。でも、子育てには高栄養で消化しやすい虫が必要なので、虫が多い春から夏を子育てシーズンとするのが普通です。スズメでさえも、ヒナを巣立たせる2週間に親鳥が虫を運ぶ回数は、4千回を超えるといわれています。

自然の仕組みから学ぼう
虫に食べられる植物にとっては、虫を食べる小鳥が必要です。でも、小鳥が虫を食べつくすことはありません。それは、小鳥が増えすぎないからです。毎年子育てをくり返して、ヒナが無事に巣立ったとしても、自立、移動、越冬などの試練が続くので生きのびるのはわずか。一方で、そうして弱ったり死んだ鳥が食物となって、肉食性や雑食性の鳥などの命を支えているのです。
命の大切さは、このようにさまざまな生物の共存と命のつながりとともに再認識されなくてはならない時代になりました。2005年から国連「持続可能な開発のための教育の10年」がスタートし、持続可能な社会を作ることは人類共通、最大の命題となっていますが、持続可能な自然のしくみから学ぶべきことが少なくありません。

ヒナを助けるには
誰にでもできること
野生の命を助けることは専門家でも難しいものですが、虫を殺さない、虫が食べる植物を残すなど、誰でも小鳥のためにできることがあります。
もし、羽がそろっていないようなヒナが落ちていた場合は、巣立ち前に巣から落ちたのかも知れません。近くに巣があるはずなので、そこに戻してやることで助けられる可能性があります。ただし、ヒナにさわる場合は、手袋をするなどして安全や衛生に気をつけましょう(親鳥が匂いを気にすることはあまりないと考えられます)。

手を出す場合/救護するには
ヒナが明らかにけがや病気だったり、自然が豊かな地域では数少ない希少種のヒナが落ちている可能性もあります。放っておけないと判断できる場合は、各都道府県の鳥獣保護担当部署に相談して指示をあおぐようにしてください。なお、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護法)」によって、保護のために飼育する場合にも許可が必要です。
行政のアドバイスによって、野鳥の救護や保護飼育に取り組んでいる施設に持ち込めば対応してくれることもあります。ただ、野鳥の保護飼育や自然に帰すための知識や技術はまだ確立されているとはいえません。もともとヒナの生存率は低いので助けるには大変な労力を要し、人に慣れてしまい自然に戻せなくなる鳥もいることや、施設についてもボランティアで運営されている場合も多く、すべてを受入れることはできないことも知っておきましょう。また、ドバトやカラスなど増えすぎて問題とされる鳥、外来種などは対応してもらえないこともあります。


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